文章リハビリ

この世はクソファッキン  だけどこの世はAll you need is love. (映画と本と音楽の感想と雑記のブログ)

Yの悲劇/エラリー・クイーン(1932)

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「そう。わたしは最初からかかわるべきではなかったのです。
 どうか帰らせてください」

本格ミステリ屈指の傑作といわれる「Yの悲劇」を読了。
私の頭脳では腑に落ちないというか、理解できない点も残してはいますが、新本格といわれるジャンルの作家達の作品がなぜあんなにも面白いのかというのが本作を読んでなんとなくわかった気がします。
印象的だったのは、探偵「ドルリー・レーン」のキャラクターです。
多くの魅力的な名探偵とかけ離れたような、人情味というか、苦悩というか、そういうものをにじませる彼の姿は「オリエント急行殺人事件」のポアロをなんとなく感じさせました。
ラストの少年の死は、ただ誤ってミルクを飲んだだけ。レーンが述べた、「子供ゆえの稚拙な思考」でルイーザに飲ませるはずのミルクを飲んでしまっただけ。そう考えるのが面白いと私は思います。