新世界より/貴志祐介
この小説は・・・スゴイ。
ずーっと読みたいと思いつつ、なんとなく避けるというわけのわからない行動をとること1年あまり・・・
この間図書館で見かけて借りて、一気に読了!!
なぜ避けていたのか・・・読み始めるとページをめくる手が、止まらなかったのだ・・・。
アマゾンのレビューにもあったように、このグロテスクな世界観を数年間頭の中に置き続けた作者は本当に、すごいと思う。
この小説は色々な要素がごちゃごちゃと混在していて、それでいてきれいにまとまっていると思う。
・呪力というファンタジーな要素
・呪力の強弱によって定まる漫画ちっく、ラノベちっくな戦闘能力
・ハイテク文明が滅んだあとの、ローテク文明というSF設定
・グロテスクな虫の描写・・・
・バケネズミ、不浄猫などのファンタジー生き物たち
・少年少女が主人公というジュブナイルっぽい面
・なんとなく謎解きっぽい面
上手く書きだすことができないけれど、とにかく色々と詰め込まれていると思うのだ。
主人公が感じる未来への不安
バケネズミが反乱を起こし、その頭領は捕まったけれど、ひたすら死刑(正確には死刑ではないけど)にしようとする人々は果たして正しいのだろうか。
たぶん、偏った見方をしているが、バケネズミの反乱が起きたのは当然だと僕は思う。
便利屋のように扱われ、人間の機嫌が悪くなれば書類一つで絶滅させられる。
今、僕たちが住んでいる世界を見てもこんな不気味な関係は無い、と思う。
だから、主人公たちは2度と悲劇を起こさないためにバケネズミとの関係を見直すべきだ。
それも平等とはいかなくても、そっちの方向へ。圧政などはもってのほか・・・ではないだろうか。
この前読んだ「探偵伯爵と僕」の話とも少しかぶってくるけれど、殺人を防ぐためには殺人犯をしっかり分析してその原因を追及しないといけない。
それと同じことで彼らはしっかりとスクィーラの話を聞き、何故反乱が起きたのかをしっかりと考えるべきだ。
スクィーラが処分されるのは当然だが、それは原因を追及した後だろう。
とにもかくにも、とてもおもしろかった。
だけど、一言主人公に物申したい。
今、僕が住んでる文明社会も悪いものではないぞ。