A Kind Of Magic
学校からの帰り道の、駅を出たところだったと思う。確かもう暗かった。
駅の掃除婦のおっさんが空を見上げながら、手に持った箒とちりとりを叩き合わせた。
僕はまさか合図したら鳥でも降りてくるのかと、思わず空を見上げた。
結局、鳥は降りてこなかった。けれど、僕は見た。その時、空が流れるのを。一瞬だけど空が波立つのが見えた、空の空気が動くのが見えた。
きっとあのおっさんは日課のように、あの時間あの場所で毎日少しだけ空を流しているんだと思う。
いったいどんな意味があるのかなんてわからないけど、きっと大切なことなんだよ。