文章リハビリ

この世はクソファッキン  だけどこの世はAll you need is love. (映画と本と音楽の感想と雑記のブログ)

ソードアート・オンライン1 アインクラッド/川原礫

ソードアート・オンライン〈1〉アインクラッド (電撃文庫)

これのパーティ戦闘おもろいか?

気になっていたところ、知り合いがちょうどよく貸してくれたから読んだ。

結論を先に言うと、「MMORPGに閉じ込められる」っていうそこだけがおもろい作品ですね。MMORPGの世界が舞台だから、ネトゲやったことある人にはそこだけはとりあえず面白いと思う。と言ってもネトゲ部分の描き方というか設定も微妙ですけどね。

以下はひたすら文句だよ。

キャラクターは王道というよりはコテコテのテンプレ、予想できるオチ、さらに主役二人が惹かれあっていくドラマも最悪・・。「こいつらなんでこんなに愛し合ってるの?」と思わずにはいられなかった。アスナはまだ昼寝の件があるけど主人公。何にもないやん。過去に、自分のせいでギルドメンバーを何人も死なせたから人とのつながりを絶ったとか言ってるわりに、その葛藤を突き抜けて愛し合うに至る流れがしょぼすぎるんですけど・・。カップルになるまでちょっとパーティ組んで飯食っただけやん。正直なところ昼寝の件も、あれがキリトじゃなくてその場限りの一期一会で、その影響でちょっと考え方が変わったてのなら良いエピソードだと思うんですが、あれで完膚なきまでに惚れるっていうのはちょっと・・。ていうかキリトって「今日は良い天気だから空を見ないと損だ」とか言うとは思えないんですけど。

というわけで主人公のキリトのキャラクターにも全く魅力が無いです。強くて、ありがちな暗い過去があって、ああ主人公ですねって感じです。物語が進んでも主人公の一人称視点の話なのに、今何をどう考えてるかとか精神面の成長とかがさっぱり伝わってこないんですよね。「仲間を作ることへの葛藤は?いつの間に考え方変わったん?」という感じです。感情移入できる人がいたらビビりますわ。中二設定なのは別にいいんですよ。むしろ歓迎なんですよ。魅力がないのが問題なんです。主人公の周りに都合よく存在するキャラクターもまるでNPCのようで、ゲームに現実の人間が閉じ込められてる感が薄い。薄っぺらい。

ラストで、1万人をゲーム世界に閉じ込めた張本人がそんなに悪い奴でもない感じで描かれてるのもすごく気に食わん。はっ?って感じ。ていうか動機は?って感じ。ウェブでレビュー見てると「なんでデスゲームにしないといけなかったのか分からない」とありましたがまさにその通りですわ。幼いことからずっと抱いてた妄想世界が歳をとるにつれ変わっていった結果?自分が焦がれる空想世界をただのゲームじゃなくて現実のものにするため?もうちょい説明するなりなんなりで動機を見せてくれないと・・。魅力のないラスボスですわ。

ネトゲが舞台だからもっとスキルやら装備やらモンスターやらその辺のゲームの設定の部分が色々出てくるかと思ったら意外と少ないし・・。続編で魔法のあるネトゲの世界に行ったり、FPSの世界に行ったりすると聞いたんでちょっと気になってますけど、とりあえず2巻のサブシナリオ集のようなものは全く読む気になりませんわ。キャラクターの魅力を全く感じなかったので。

パーティ戦がゲームのシステム上1対1がベストだからパーティメンバーで交代しながら敵とタイマン勝負、ていうのも何とも言えませんね。僕だったらゲームのやる気なくす要素ですわ。パーティで戦ってる感が少なすぎるというか、パーティ戦の良いところ殺してません?

まとめますと人間ドラマが最悪です。ネトゲの描き方はまあ軽く読む分にはおもろいです。文章はさっぱりしてて読みやすいので、ネトゲが舞台の小説に興味があるならとりあえず読むだけ読んでみるのはありだと思います。