ジョー・ブラックをよろしく/マーティン・ブレスト(1998)
愛こそが全て。
観終わってからWikipediaをチェックして知ったのですが、本作はリメイクだったのですね。そして最低リメイク及び続編賞を受賞しているんですね。良い映画だと思うんですけどねぇ。
本作はいたって穏やかで、優しくゆったりと物語が進んでいきます。作品そのものの時間も長いし、台詞と台詞の間も長く、台詞自体も抑えめなトーンが非常に多いです。舞台も、美しい邸宅に大企業のオフィス、ガーデン、パーティ会場と美しいです。これは、綺麗な映画です。
シナリオは、もう正直切ないです。現世に現れた死神は当然、いつかは帰らねばなりません。「ここに居たいけれど、居るべきじゃない。去らなければならない。」こういう思いがあるし、観てる方もそれがわかります。まさに「かぐや姫」のラストであります。月に帰らねばならないかぐや姫の地球との別れはとても切ないです。
そして当然、恋した相手とも別れなければなりません。「連れて行きたい相手がいるけれど、連れて行くべきじゃない。連れて行くことはできない。」 これは、「カリオストロの城」のラストでの、ルパンであります。クラリスを連れて行きたいけれど、それは出来ないわけです。自分の生きる闇の世界には連れていけないわけです。これだけあれば、僕は猛烈に切ないです。ラストで、パーティの風景を眺めながら涙を流すジョーの姿は素晴らしい。
主要キャストはすごくハマっていると思いました。というか、死神役にブラッド・ピットを据えた時点で、半分くらい成功しているような気もします。ブラックスーツを着たブラッド・ピットは男から見ても美しいし、英語も演技もわからないけれど、本作での演技は素晴らしいと思います。死神が、現世にやってきて、人間の殻を被ってどうにかやっていこうとしてる感じが出ているんですよねぇ。これが良かったです。やはり、ブラッド・ピットはワイルド路線より美しい路線の方がかっこいいと思います。
最後の花火が上がるシーンを観ていると、映画館で観たかったなぁと強く思いましたね。