文章リハビリ

この世はクソファッキン  だけどこの世はAll you need is love. (映画と本と音楽の感想と雑記のブログ)

勝手にふるえてろ/綿矢りさ(2010)

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私が胸に赤いふせんを付けていただけで、私を見つけてくれた人。

 久しぶりに読み返しました。3回目か、4回目くらいですかねぇ・・。当ブログでも何度か取り上げていますね。とりあえず感想を書いていこうと思います。

まったく他の方のレビューを読んでいないのでアレなんですけど、この主人公は評判悪いのですかね。どうなんですかね。僕は、好きとは言わないですけど、嫌いじゃない、というか嫌いになれない、というか、憎めないです。確かにこの主人公、「いやそれ、自分が悪いやん」系のキャラクターだと思うんですけど、何でしょう、憎めないんですよね。「ジェイン・オースティンの読書会」の女どもは駄目で、何でこの主人公はOKなんだ、とおっしゃる方もいるかもしれません。確かにそうなんですよね。けどね、「いやそれ、自分が悪いやん。けどまぁ、気持ちもわかるよ」って思わされてしまうから、それで良いんですよ。
主人公の論理というか言い分って、最もらしく言ってるけど、破綻してるところもあるんですよね。「ニ」に対するイチャモンとかね、正直苛立ったりもするわけです。けどねぇ、なんでしょう、いい歳して孤独な人って、こんな感じだと思うんですよ。こんな人いると思うんですよ。自分にとって大事なものが、ものすごく大事で、それを大切にしてる自分こそ正しい、みたいな思考展開って、あると思うんですよね。自分に近いなぁとか思っちゃう部分もあるわけですよ。全く、説明になっていませんね。けど、ギリギリのところで、この主人公を僕は憎めません。こういう女心もあるのかなって思います。
そいで、綿矢りさは、やっぱりハッとするような文章を書きますね。本作も、書き出し面白いですよね。蹴りたい背中も素晴らしいと思うけど。「私が胸に赤いふせんを付けていただけで、私を見つけてくれた人。」ってところは久々に読んで、ほんとハッとしました。イメージみたいなものがパッと目の前に浮かぶというか。あの感じですよ。
そういえば綿矢りさの作品、新しいのいくつかを読んでいないなあ。買っておいてあるのもあるんですけどね。